はじめに
歯と歯周組織の構造と痛みの原因
一般的な根管治療および根管充填
新しい概念による根管治療
次世代の歯槽骨の再生と回復
おわりに
 一般的な根管治療および根管充填
一般歯科で行なわれている根管治療で歯周炎?!


これまで、歯と歯周組織の構造と痛みの原因について述べて来ましたが、以下は齲蝕が進行し充填(詰め物)による治療では治癒が難しい場合の治療法について述べて行きます。
齲蝕(虫歯)が進行して歯髄炎を生じた場合、前述したように麻酔下にて電気的根管長の測定を行なった上で(Fig.8−a)、歯髄を取り除く処置を行ないます(抜髄)。その後根管内の感染物質を取り除き洗浄・消毒をして(根管治療)、歯髄腔に感染源が侵入しないように充填材によって封鎖します。この処置操作を根管充填と言います(Fig.8−b)。

Fig.8
I, 根管治療の問題点

以上に述べた処置が、一般的に確実に行なわれているかというと疑問があります。根管の長さを正確に測定した後、根管内に感染源が残らないようにすることが根管治療の目的ですが測定が不充分なまま処置が行なわれてしまったケ−スも多く見られます。このような場合、汚染された感染物質が根管内に残ります。抜髄や根管処置あるいは根管充填が不充分だったために、Fig.5に示すような膿瘍(膿と不良肉芽等の集合体)が根管外の歯周組織に形成されるケ−スが数多く見受けられます。このような状況に到った根管の処置を感染根管治療と言い、汚染物質を取り除き消毒を繰り返します。この治療により感染源が取り除かれ炎症性反応の消退が確認された後に、抜髄を行なった場合と同様に感染を防ぐための根管充填を行ないます。実はこの治療を再度必要とする症例が、近年極めて多くなって来ています。
II, 根管充填の問題点

治療上の問題:次に、現在一般的に行われている根管充填の問題点について述べます。まず歯髄を無痛にする目的で使用される亜砒酸(三酸化砒素)やパラホルム製剤などの毒性を有する組織失活剤が、麻酔の代替として現在でも一般的に使用されていることです。これらの製剤は保険適用もされているのですが、薬剤が歯髄のみならず歯の内部にも侵入して残存しさらに根尖孔から歯周組織へも漏出する場合があります。その結果、歯周組織に膿瘍形成などの病態を生ずる危険性が極めて高いという問題も有しています。また、根管の長さ・太さをISO(国際規格)に準じて測定した上で、治療を行なうのが通常の処置法なのですが、これも一般には充分に行なわれていないのが実状のようです。

充填材料の問題:根管を封鎖し感染を防止する充填材としては、※ガッタパ−チャという天然ゴムを主成分とする材料で緊密に隙間なく充填する方法が一般的ですが、根管充填をする状態に整えるまでに、多くの器具・器材を使用し装作が煩雑であるという問題を有します。その他の充填材料としては、ペ−スト状(糊剤)の※酸化亜鉛ユ−ジノ−ルセメントや※水酸化カルシウム・ヨ−ドホルム製剤などがありシリンジで注入するような比較的簡単な手順で充填が行なえます。しかしながらこれらの材料は各々の特性からすべての症例に応用し得るものではなく、様々な問題を有しています。

Fig.9にはGP充填の問題点を示しました。GPは乳歯のように永久歯の成長と時期を同一にして歯根が吸収する症例や、成長途中にある永久歯の根尖未完成や根尖開拡(Ope
n Apex)、分岐や側枝を有する歯などには不向きです
。なぜなら、GP自体はゴムであり、歯の吸収に連動して変化する事は無理であり、また、根尖の開拡している所や根管の分岐している所へ緊密に充填するのは物理的に不可能だからです(Fig.9)。

Fig.9
ガッタパ−チャGutta-Percha -----以下GP
酸化亜鉛ユ−ジノ−ルセメントGrossman's Cement -----以下GC
水酸化カルシウム・ヨ−ドホルム製剤Calcium Hydroxide-Iodine Paste -----以下CHI

Fig.10
また、ペ−ストタイプの根管充填材では、以上に述べたような問題は少ないものの、一方では材料自体の溶解性が大きいために、緊密で隙間のない充填は難しく感染源が入り込むという欠点も有しています(Fig.10)。

Fig.11
すなわち、いずれも根管充填には不適な性質を有しており、さらに根管の測定の不備や歯髄失活のための不適切な薬剤使用の問題もあり、高い確率で根管充填後の障害が膿瘍形成のような病状として現れてくることになります(Fig.11)。加えてGPとペ−スト型材料による充填の両者に共通する問題点は、緊密な封鎮が不可能で二次感染の危険性が高いというだけではなく、生体組織に対する親和性が低いという事が挙げられます。では、どのような材料が適切な根管充填材料としてあるのでしょうか?

しっかりと根尖まで塞ぐことが出来なかった結果として、根管内の隙間に種々の残査物や体液が滞留して細菌感染が起こり、歯周組織に膿瘍が形成されることになる。文中にも述べているように、膿瘍は徐々に骨を侵蝕して大きくなって行き、いずれ歯周疾患となって顕著化する。
歯と歯周組織の構造と痛みの原因新しい概念による根管治療